白楽天山公式サイトから

学問成就・合格祈願の山

白楽天山は、唐の詩人・白楽天が、老松の上に住む道林禅師を訪ねる場面を表しています。白楽天は、白地の衣装に唐冠をかぶり、「しゃく」を両手に持ち、道林禅師の答えを承る姿勢で立っています。また道林禅師は、紫衣と藍色の帽子を着け、手には数珠と払子を持ち、松の皮の上に腰かけています。白楽天から仏法の大意を問われた道林禅師が「悪いこををせず良いことをすること」と答えると、白楽天は「そんなことは子供でも知っている」と言います。道林禅師は「その通りである。しかし八十歳の翁でも行い難いことではないか」と説かれ、白楽天は感服します。白楽天の求道心と悟りにあやかり、学問成就の御利益があるとされる山です。

動く美術館と言われる山鉾巡行

祇園祭を豪華絢爛に彩る山鉾は、鉾、山、傘鉾に大別されます。鉾は疫病の依代となる真木を中心に屋形を組み、それに車をつけて曳く形態です。傘鉾は大きな傘の上に作り物や松を飾った風流傘です。山は「曳山」と「舁山」に分けられます。曳山は鉾の真木が真松に変わるだけで、ほかは鉾と同じです。舁山は、神話や故事、伝説などの一場面を表現した、言わば移動する演劇舞台です。白楽天山は舁山ですが、白楽天の真松は、祇園祭の山の中で最も高く、地上からの高さは7メートル以上あります。
山鉾を飾る世界の貴重な染織 品の多くは懸装品と呼ばれ、今から数百年前の江戸時代に海外から日本に入ってきたもので、豪華絢爛な一級の美術 品です。そのため、祇園祭には「動く美術館」という別名もあります。白楽天山を飾る前懸の中心のタペストリーは16世紀ベルギー製で「イーリアス」の中のトロイア陥落の1場面を表しています。胴懸、水引及び見送はフランスから購入したタペストリーです。

白楽天山保存会はこのたび、山を飾る前掛(まえかけ)と水引(みずひき)を復元新調いたしました。現在の前掛は、16世紀にベルギーで制作されたとされ、約400年ぶりの新調となります。新しい前掛はタペストリー風のつづれ織り生地(ゴブラン)で川島織物セルコンさまによって制作していただきました。